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「お前は無能」dvによる支配

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190222-00000016-asahi-soci

 「お前は無能、何もできない」「俺の言うことを聞いてさえいればいい」。激怒した夫から暴力を受ける妻。DV被害者を支援するNPO法人は、加害者からの「アメとムチ」の支配があるといいます。

【写真】「相手といると、怖いと感じたり緊張したりしていませんか?」。被害者が電話相談できる窓口(DV相談ナビ)のカードには、そう書かれている

 そうした家庭では、DVと児童虐待が負の連鎖を生み、子どもたちが逃げ場を失うことがあります。朝日新聞の「#ニュース4U」取材班が経験者の話を聞きました。

■恐怖で「無気力になった」母

 「母は頼れず、父の機嫌を損ねないように生きた」。東京都のエッセー漫画家、やぶうちゆうさん(32)は子ども時代をそう話す。千葉県野田市で1月、小4の女児(10)が自宅で死亡した事件など相次ぐ児童虐待の報道を受け、取材班に経験を寄せた。

 やぶうちさんの育った家では、幼い頃から父は母を見下した言葉を放ち、母をたたいた。母は次第に逃げなくなり、「無気力な状態に追いやられているように見えた」。

 やぶうちさんと妹も標的に。「誰が悪い?」と父に聞かれ、暴力から逃げるため「母」と言うと母が殴られた。翌日、母に「お前のせい」と暴力を振るわれた。高校生の時、父の虐待に教員が気づき、児童相談所に一時保護された。

 自分を殴った母も長年恨んできたが、ある時、母が実家に助けを求めたことがあったと知り、「母なりに何とかしようとしていた」と見方が変わった。自身も子育てをし、「恐怖の中、母もいっぱいいっぱいだったんじゃないか」と感じた。「一方の親だけで子を守れない家がある。安心して相談できる仕組みこそ必要。加害の背景にも目を向けるべきだと思う」

■「お前が甘い」支配する加害者

 東日本の30代女性は約10年間、「お前は無能」と夫に言われ続け、暴力も受けた。「自分がダメなせいで怒らせている」と思い込んだ。

 子が悪さをして言い聞かせていると、「お前が甘いからだ」と夫が激怒。怒鳴り声が聞こえないように浴室に子を入れ、女性が止められないよう鍵をかけて「しつけ」と称してたたいた。女性は「夫のしつけの方が良いのかもしれない」と自分を責め、止められなかった。

 夫のDVが原因で母子で保護された後も夫に会いに行った。「指示がないと、次にどう行動したらいいかわからなくなっていた」。女性は支援を受け、今は元夫と関係を断った。子とともに心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療を受ける。

 DVとは何か。NPO法人「女性ネットSaya―Saya」(東京都)の松本和子・代表理事によると、夫婦間などで一方が相手を自分の思い通りに支配してコントロールするために使う様々な暴力。身体的、精神的、経済的暴力などがある。

 加害者は「子どものしつけが下手」など被害者を否定する言葉とともに暴力を振るうことが多く、被害者の自尊心は低下。被害者は考えることをやめ、「加害者はどう考えるか」を基準に動くようになる。こうした状態が続くと、被害者だけで子を守ることが難しくなる場合がある。加害者の追跡の恐怖や経済的不安などで、深刻なDVを受けながら逃げられない親子は多いという。

■識者「縦割りでなく親子支援を」

 DVに詳しい戒能(かいのう)民江・お茶の水女子大名誉教授は「DVと児童虐待が同時に起きる家は多いが、自治体の支援は縦割りで児童虐待の支援者は子どもだけ、DVの支援者は被害を受けた親だけをみがちだ。両方一緒に支援する必要がある」と訴える。「配偶者や子を自分の所有物のように捉え、『何をしてもいい』と思う加害者の誤った考え方が問題の根本。暴力は許されないと広める必要がある」

 DVの相談は内閣府運営の「DV相談ナビ」(0570・0・55210)。発信地の都道府県にある配偶者暴力相談支援センターにつながる。センターは、DV被害の相談や一時保護、自立に向けた支援をする。(沢木香織、長富由希子)


     ◇

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Mizuiro Jidai OP



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